1969年、CS&Nのデビュー盤はアルバム・チャート6位まで上がり、グラミー賞の最優秀新人賞も獲得した。後追いでこのアルバムを聴いたワタシは正直言ってここで聴かれるハーモニーが当時どれほど革新的だったのかはよく分からない。しかしそんな歴史的な意義を知らなくても、曲とハーモニーの良さは誰にでも分かる。何といってもデビューアルバムのA面1曲目なのに7分24秒もあって、そのくせアコースティック楽器とハーモニーだけで異様な緊張感を維持する「組曲:青い眼のジュディ」がスティルスらしい名曲。ナッシュ作の(2)「マラケシュ行急行」はとってもポップだが、続くクロスビー作の(3)「グウィニヴィア」は静謐、という具合にこの振れ幅がCS&Nの魅力か。(4)「泣くことはないよ」と(8)「どうにもならない望み」は3人で歌ったところそのハーモニーが素晴らしく、CS&Nとして活動するきっかけになった曲。(6)「木の船」は後にスティルスのエレキギターが活躍する佳曲だが、解説書を読んでジャクソン・ブラウンの「フォー・エヴリマン」がこの曲へのアンチソングだと初めて知った。クロスビー作の(9)「ロング・タイム・ゴーン」はウッドストック的でイイ。ラストの(10)「49のバイ・バイズ」は後のウェスト・コースト・ロックに直結する最高のポップ曲。★★★★★
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