定価21,000円の紙ジャケCD15枚+特典DVDのボックス。ワタシは2006年に9枚組デジパックのボックスを8,400円定価で購入しており、その音源は全てこのボックスに含まれているのだが、デジパックはイヤじゃ、ぜひ紙ジャケで欲しい、というわけで買い替え。幸いそのボックスは未開封だったので(まさに「ボックスは買ったら終わり」)、4,200円で売れたから、そのコストを考えると12,335+8,400-4,200=16,535円となり、定価の約2割引で買ったことになる。
さて、このボックスは「Dear Tokyo」(2001年)を除いて、香津美の初期となる1975〜81年のコロンビア音源をコンプリートしたもの。「オリーブス・ステップス」('77)、「ロンサム・キャット」('78)はクロスオーバー・ミュージック黎明期のフレッシュな演奏。「KYLYN」とそのライブ('79)は日本のクロスオーバー勢力を結集させた記念碑的なアルバム。「TO CHI KA」('80)はマイク・マイニエリのプロデュースの下、豪華メンバーでのニューヨーク録音で世界水準のフュージョンの大傑作。『リキッド・フィンガーズ』やTVCMに使われた『ユニコーン』といった曲は演奏水準の高さは言わずもがなで、そもそも曲がカッコいい。「TALK YOU ALL TIGHT」('81)は「TO CHI KA」から一転、日本人メンバーによるKAZUMI BANDのデビュー盤で、ワタシは「TO CHI KA」よりも好き。1曲目の『ノー・ハリバット・ブギ』からしてテンションが異常に高く、『バチスカーフ』に至ってはグシャグシャにエフェクトしたギターが大暴れする。ロックファンで香津美を聴いたことがない人ならばこのアルバムが一番のオススメだ。Disc14と15「セッション・ワークス」はさまざまな他流試合の様子がまとめられていてありがたい。一方、「ムダリ/渡辺香津美&ジミー・ホッブス」(76年)は見慣れないアルバムだが、これはフィーチャーされる日本人女性ボーカルが酷く、二度と聴くことは無いだろう。特典のDVDは84年の野外フェス出演時のものだが、わずか6分しかない。せっかくDVDディスクを1枚付けるのだから特典盤といえどもシッカリと2時間くらいの映像を収録して欲しかったところだ。アルファ音源のため残念ながらこのボックスに入らなかったのが、1978年の「マーメイド・ブールヴァード」。これはリー・リトナー&ジェントル・ソウツに若き香津美が挑んだすがすがしい名盤で、最近ネット注文限定で復刻されたが、一般に手に入りやすい形での復刻を願う。★★★★★
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